大工集団 欅(けやき)

日本の気候に合う家とは?
 「良い家」の条件の一つに、風通しの良い家、風の通り抜ける家があると思います。
 そこでまず初めに、最近よく聞く「結露」について考えてみたと思います。結露は室内と室外の室温差により、空気中の水分が窓などに水滴となって出来ます。窓だけでなくマンションなどでは壁面にも出来ます。この結露の湿気は、カビなどが出来る原因の一つとも言われています。

 今の住宅やマンションなどは気密性が高くなっている分だけ、室内の空気の流れが悪くなっています。それにプラスしてアルミ材・鉄骨材・コンクリート材・塩ビ・プリントなど、水分を吸ってくれる材料が使われていないので少量の水分でもカビが出来てしまいます。たまたま先日テレビで、ある面積(単位はちょっと忘れてしまったが)にいるダニの数を世界各国と比べていたのを見てぶったまげてしまいました。例えば、アメリカ・カナダ・ヨーロッパが8〜10匹という数に比べ、日本は1,000匹以上という、とてつもない差があったのです。日本の風土の湿度の高さに加え、最近の建築物の建て方にも原因があると、ここでも指摘していました。そのダニの死骸が空気中に舞い上がり、喘息や花粉症のアレルギーを引き起こしている。子供のアレルギーにも関係していると指摘されています。

 そんな事からも、昔の日本の住宅はとても日本の風土に合った家だったように感じます。使い勝手は良くないし、湿気をよぶ水まわりを外や離れた所に持ってしまい、そして風通しが良いというより隙間だらけでした。木材も塗装せずふんだんに使っていました。それが良いというのではありません。でも、あの時代はそれが当たり前だったのです。今ではエアコンは必需品ですし、ましてや隙間だらけの家には住みたくありませんよね。

 日本には現代風に言う“すぐれものグッズ”があります。まず、寒い冬場に暖めてくれる「こたつ」や「いろり」。寒い家の中で足もとを集中的に暖める「こたつ」、これほど暖房効率のよいものは他にあるでしょうか。そして「いろり」は暖房・調理に加えその煙で燻して防虫、また柱や床などはまるで塗装をしたような艶も出せます。一石三鳥、いや四鳥なのです。夏場に”涼”を感じさせてくれる「風鈴」なども”すぐれものグッズ”の一つです。昔の日本人はお金での裕福は無かったけど、心の豊かさや知恵がありました。でも、「いろり」は防火上の問題もありますし、火の起し方さえも知らない人がおいでるのではないでしょうか。

 ただお金を出して建てれば良いのではなく、建て方・作り方・使い方が重要なのです。そして、他人の目で「良い」「悪い」を決めるのではなく、自分が気に入ればそれが一番いいのです。べつに型にはまった物ばかりを使う必要はないのです。

 私が思う「良い家」は、例えそれが木目の揃っていないものでも、節などの欠点が入っていても、耐久性に問題がなければかまわない、木材をふんだんに使い、そして風の通り抜ける家、そのような家は最高だと思います。

 お金なんかかかっていなくても、少しづつでもそのような家の良さを理解していただける施主の方が増えていく事を期待しています。               
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