〜 店に使われている 木の話 〜
いらっしゃいませ

喫茶 大工集団欅(けやき)






喫茶店に戻る
 (ほうのき)  【Cucmber tree】
別名  ホオガシワ

学名  Magnolia obovata (Magnolia hypoleuc)

双子葉植物 離弁花類 モクレン科 モクレン属
落葉高木

樹皮は、灰白色で滑らかです。
葉は、互生、全縁で大きく、下面は帯粉白色です。
5・6月に大形の花が咲き、芳香があります。
温帯の谷沿いの肥沃地に普通に見られます。

朴は木材界では一般に朴と一字でホウノキと呼んでいます。「朴の木」とはあまり書きません。 因みに当用漢字では朴の字は「ホオ」と読みます。
東北、北海道の営林署では入札の書類などにはホホと書いています。
漢字で【厚朴】と書かれることがありますが、厚朴は【からほほ(唐朴)】と言う別の植物であり朴とは違います。

高さは25m、直径は1mほどにもなり真直ぐ立ち、まばらに分枝し、温帯樹で北海道、本州、四国、九州に生育します。
北海道の日高山脈周辺から、白太の薄くて曲がりの少ない良質材が産出します。奥羽山脈周辺から出る材にも良材がありますが、少々曲りが多い木があります。

花は5月頃に直径12〜18cmの帯黄白色の大輪が直立します。

果体は12〜20cmになり長楕円体で秋に成熟し、紅紫色になって綺麗です。

葉は長さ45cmにもなり、自生地の山村では包み紙の代わりに使われたほどです。
朴葉味噌に使い、移り香が良いので、端午の節句にこの朴葉に柏葉餅を包みました。
若葉は帯紅色で美しいです。

← 朴と葉
朴にはアテが殆どないのが特徴で多少の曲がりは狂う要因にはなりません。
朴は切削加工性が非常に良く、切削時に春目からの欠落が少ないので、彫刻には最適の材質と言われています。

中高年の方々に朴を分かって頂けるのは、戦後の復興期に、電気炬燵が普及し始めた時、炬燵櫓の骨材として大量に使われたのでご存じの方も多いと思います。

朴の素地の材は木地白く冬目のたっていない(杢目があまり目立たない)事から、飾り気のない事を【素朴】と言うようになりました。

みなさんは緑色の木をご存じでしょうか。
じつは朴は淡い緑色をしているのです。
緑色の木はそれ以外に吉栄しか私は知りません。

材は軽くて堅く、きめ細かいので図板、器具材、印刷板、版木、下駄(朴葉下駄)、漆器木地、箱、裁板、ピアノ鍵盤、彫刻材など広く使われています。
刃当たりが良いので、爼板に適しています。刃物が錆びない性質があると言われ、刀の鞘には朴だけが使われていました。

三重の農家では田植の初日の昼食は家の主人が朴の小枝を頭上にかざして田に行き、田植をしている早乙女達がこの葉を一枚宛ちぎり御馳走を盛って食べる習慣があありました。
初夏に花径20cmになる白または淡黄色の香りのよい花を咲かせます。花は美しいのですが大きくなりすぎるので、庭園用には不向きです。

朴は文学にも多く出てきます。
『赤い封蝋細工のほほの木の芽が、風に吹かれてピッカリピッカリと光り、林の中の雪に
は藍色の木の影がいちめん網になって落ちて日光のあたる所には銀の百合が咲いたやうに見えました。』                       宮沢賢治 『雪渡り』

『(けはしくも刻むこゝろの峯々に いま咲きそむるマグノリアかも。)斯う云う声がどこからかはっきり聞こえて来ました。諒安は心も明るく見まはしました。
すぐ向ふに一本の大きなほほの木がありました。その下に二人の子供が幹を間にして立っ
てゐるのでした。 』                 宮沢賢治 『マグノリアの木』

『朴葉みそ匂ふ朝餉に休暇果つ』  (尾亀清四郎)
『うづたかき朴の落葉も社家の門』 (羽田岳水)
『高く雨雲ゆくや朴の花』     (秋桜子)


← プライベート カウンター

当店では、朴をプライベート・カウンターの上の棚板、キッチンの棚板、トイレのカウンターとして使用しました。


↑ 板目 ↑ 柾目