〜 店に使われている 木の話 〜
米杉
【Westen Red Ceder】
別名 ウェスタンレッドシーダー、レッドシーダー
学名 Thuja plicata
ヒノキ科 クロベ属
「ベイスギ」と呼ばれていますが、米国産のスギ類ではありません。
北米大陸のアラスカ州の南東部からカリフォルニア州北西部およびロッキー山系に分布しています。
北米の太平洋岸のバンクーバー周辺、オリンピア半島、シアトル周辺に多く分布し、ベイマツと混交状態で生育が認められます。更に南に下がるとセコイア種に移ってゆきますが、南へ行く程に材色の赤が強く褐色が薄く綺麗になり、日本では天井板用になる原木として人気があります。
産出はワシントン州が一番多く、オレゴン州、アイダホ州、モンタナ州から商業ベースで産出されています。
Westernのベイスギは非常な大木になります。
日本のネズコ(黒桧)あるいはクロベ(T.standishii)と同類で、しいて日本名をつけるとすれば「アメリカネズコ」か、「ベイクロベ」と本来は呼ぶべきでしょう。
また、杉の特有の芳香はなく、別の芳香がありますので、すぐに別物であることがわかります。でも、ベイスギの芳香も独特の良い匂いですよ。
この木材は、耐久性が高いため、米国のある部族のインディアンの人々は、このベイスギを使って、トーテムポールを作っています。 外に置いて雨に濡れても腐敗に強い木です。
心材の色は赤褐色で、このことから多分ベイスギの名が出たのでしょう。しかし、杉とは違って、色が不均一で、薄い黄色の物、濃い茶色の物、たまにはネズミ色まであります。それらを無造作に使用すると汚れたような感じを与えます。表面材に使うときは材の色の吟味をしなければなりません。このために、表面に出るような用途には使いにくいといえます。
しかし、最近では、木材の漂白および染色の技術が進歩して、美しい材面に加工することが出来ます。しかし、木はそのまま自然な物を自然な色で、つまりそのまま使うのが最良なのではないでしょうか。
ベイスギの保存性は非常に高いです。
気乾比重の平均値は0.38(絶乾比重は0.32)で、むしろ軽軟な木材です。
加工が容易な反面、強度的には強い木材ではありません。
用途は集成材の板、建築、建具、クーリングタワーの板、屋根柾(シングルウッドという別名をもつ)など、どちらかといえば、耐久性が高いが強さをあまり必要としない用途に用いられます。
北米でのベイスギの一番多い用途は屋根葺き用のシングル=Shingleと呼ばれている突柾です。北米の太平洋岸の住宅の屋根は大抵シングルで葺かれています。屋根が板で出来ているのです。
その他水湿に対する腐朽性が非常に強いので、外装やフェンス等の用途に適しています。
一見しては、ちょっと天然の杉の美しいスライスドベニヤのようなものが、ベイスギから作られるようになっています。
製材の際に出来る鋸屑のために、作業をする人々にいわゆる“ベイスギぜんそく”がおきることが、大きな話題となったことがありました。
← 天井
当店では表面材に適さないと言われるベイスギを敢えて天井の羽目板として、また壁の腰板として使用しました。
← 腰板
色は天井は薄い黄色の物、腰板は濃い茶色の物を使用しました。
← デッキに置いてある椅子の中で左の写真の物はベイスギで作りました。
水に強い木ですから腐る心配はありません。
(テーブルは栗で作りました)
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柾目
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ベイスギの和室用天井板の木目