〜 店に使われている 木の話 〜
いらっしゃいませ

喫茶 大工集団欅(けやき)






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 (きり)    【Paulownia】

学名 Paulownia tomentosa
Paulownia は、シーボルトが後援を受けたオランダのAnna Paulowna女王を記念した名前です。
tomentosaは密に細綿毛のあるという意味があります。

ノウゼンカズラ科キリ属  落葉高木
ゴマノハグサ科の落葉高木。
英語名 paulownia (ポローニア)
原産地 中国

桐の原産は中国大陸で、我が国には飛鳥時代の頃に渡来して各地で植栽されるようになりました。
現在では北海道南部から鹿児島に至るまで生育していますが、特に、岩手県の南部桐、福島県の会津桐、岡山県から広島県東部にかけての備後桐が著名な生産地でありました(←過去形)。
近年、国内での生産量は減少し、中国を筆頭に台湾やアメリカ、ブラジル、パラグアイなどからも輸入されています。

桐は北海道と四国を除いた全国に広く分布しています。
会津盆地、筑波山麓、福島浜通に良材が蓄積されています。
古来、産地としては南部桐(岩手県)会津桐(福島県)などが有名です。
5月には、華やかな花を咲かせるので遠目にも桐の木が良く判ります。

この木を一口で言えば「極めて異貢で優秀な性格」と言えます。
つまり、木の中では特殊な性質で独特な地位を築いた木なのです。
どんな性質かって? それは次からの7行を読んでください。

桐材の特性は
1.材は比重0.31と、どの針葉樹よりも軽く、日本の樹木の中で最も軽く、水に浮くくらいです。(当 たり前ですね)
2.水に対する吸湿性・吸水性が著しく小さい木です。と同時に狂いが少ないのです。
  水分による収縮・膨張が殆どない事と、火に対しては表面が直ぐに焦げて炭化し、それ以上は中が燃えなくなること、及び、熱伝導率が低いと言う特殊な性質がある木です。
アレッ。6行で済んでしまいました。

桐は湿度の通過性や熱伝導率がきわめて小さい特性を持っているため、用途としてはタンスをもって第一とするのでしょうが、金庫の内張にはこの性質を利用して、今でも桐材だけが使われています。
火事の炎から大切なものを守る。桐ダンスと金庫。
火事のときに桐箪笥は黒焦げになったが、中の着物は無事だったという話が語り継がれています。これには、桐が持つ上記の二つの特性で実証することができます。
一つは、桐は熱伝導率が極めて低く着火点が高いので、表面が焦げても中まで火がまわるのに時間がかかるからです。金庫の内部が桐で出来ているのはそのためで、外側の鉄板が炎で真っ赤に焼けても、内部が桐で出来ていれば断熱効果にも優れるので重要書類や紙幣などが自然発火しにくいのです。
二つ目は、他の木材に比べ吸水性に優れるので消火の水を直に吸収してしまいます。たくさんの水を含むと当然燃え難くなり、同時に木が膨張するので引出しや扉の隙間をふさぎ、タンスの内部に消化の水が入るのを防ぎ、大切なモノを守ることが出来ます。
昔から、火事になったら「桐タンスに水をかけろ」と云われたのもこうしたことからで、桐という素材を知り尽くした先人達の知恵が伝わります。
但し、どちらにしてもボヤ程度の火事の場合のことで、家が全焼するような火災であれば桐タンスでも当然焼けてしまいます。
梅雨時に桐タンスの引出しが堅くなることがありますが、これは、湿度が高くなると桐材が膨張して気密性が高まり、タンス内に湿気が侵入するのを防いでいるからです。また逆に、乾燥時には木が収縮して蒸れないように通気性を良くします。同時に、板の面も木目(きめ)が粗密になって湿気の通過を自然にコントロールします。
この様に、キリはまるで呼吸しているかのように乾湿調整を行い、タンス内を一定の快適な状態に保つ働きをしています。
ですから、古くからタンスの他にも高級な美術工芸品を収める箱に桐が使われるなど、キリ自体も高級品として扱われ、湿度の高い日本ならではの桐文化が発達しました。

下駄に桐を良く使うのは軽くて足が疲れないという利点に加えて、田舎道等を歩くと小石が下駄の歯に食い込んで材の表面をカバーして磨耗を防ぐと言う効果があり、他の材の下駄より長持ちする利点があったからです。桐の軟らかな材質の逆用法ですね。
刀剣、掛け軸など高級貴重品を収納する箱の他、琴、琵琶等の楽器(軟らかくて空洞の多い材質は、ソフトな昔の響きをかもしだします)等の日用品に至るまで幅広く使用されます。
また昔は屑を焼いて懐炉灰に用いた他、樹皮は染料、葉は除虫用に使われました。

桐の伐採時期は梅雨入り前だけです。
伐採した桐は、梅雨の長雨に晒されて灰汁が抜け綺麗な白銀色になり冴えた光沢が出ます。この方法以外では材色が冴えず、使用後に木が動いて使い物にならないと言われます。

昔から「花嫁道具には桐箪笥」として親しまれて、よく植栽されてきましたので、身近な所の庭や畑の横でも目にすることが多い木です。

成長はきわめて早く、幹は高さ10mにも達します。「娘が生まれたら桐を植え、それで箪笥をつくれ」という諺があるくらい、極めて成長が速い木です。
尚、中国では、桐は鳳凰が親しむお目出度い木として崇拝され、我が国においても、菊とともに皇室の紋章や神紋にも用いるなど高貴に扱われています。


【五三の桐】、【五七の桐】、【唐桐】等が紋所の図柄として有名で、その変形も多くあります。


材は、日本の木の中で最も軽い木で、切削が容易で、水を吸っても膨張や狂いが少なく、その割に強度があるという不思議な材で、接着性にも優れています。

昔、農家では女の子が生まれると庭に桐の苗木を二本ほど植え、その子が成人してお嫁入りするときに伐採し、その材料で桐タンスや長持(ながもち)を作ってもらい嫁いだと云います。
桐は家具材に適すると同時に成長が早く、15〜20年経つと成木となり家具材として使えるように育つことから、こうした風習が根付いたようです。

建築用材として桐を使うときは一つ注意することがあります。
それは灰汁です。桐は灰汁が出やすい木なのです。
知らずに濡れた雑巾で拭くと黒くシミになります。これは桐の灰汁が出たものです。

『大工集団 欅』では住宅を建てさせて頂くときは、押入の中を桐の板で仕上げています。お布団などを入れておいても、まるで桐ダンスにしまってあったかのように《ふかふか》ですよ。

←当店の入口ドアの近くに置いてあるこの椅子は桐で作られています。

子供が小さい頃に使っていた椅子で、子供でも持ち運びが出来るように軽い桐で作りました。
桐は座っても暖かく、子供のお気に入りでした。


← 桐の柾目


さて、
当店では建物の何処に桐を用いてあるでしょう?
これに正解された方には、お代金は頂きません。

但し・・・・・!!