森の話
日本人の多くは、イギリスやニュージーランドなどの緑の牧草地を見て、とてもいい景色だと感動している。しかし、そこは以前は大きな森でした。
それを人間が開拓し、羊を放牧して牧草しか生えない土地に変えてしまったのです。羊は、食欲旺盛で草木の根まで食べ尽くしてしまったのです。
日本には、羊を食べる食文化がなかったため、最近までとてもよい環境で、自然の森が存在しました。森はただ木や草があるのではなく、その土地や地形に必要な木々が集まり、森を構成しています。針葉樹と広葉樹がうまくバランスをとりながら共生するのです。木に多くの実がなり、虫や動物が集まる。葉が落ち、いい土といい水が出来る。木は広く根を張り、地滑りを防いでもいます。これを雑木林と呼んでいますが、四季がある日本特有のものです。
最近、この雑木林が急激に減少しています。次の世代に自然なかたちの森や山を残すためには、森に必要な草や木々に、みなさんがが興味を持つことがスタートだと思います。
雑木林を守るには、木を切らない、使わないことだと考えている人が多いのは間違いです。動物だって、植物だって、手をかけなければ死んでしまう。成長した木は計画的に伐採し、そこに幼木を植えて次の世代に備えることが必要なのです。伐採した木で得たお金が、木の手入れをする人たちの生活を支えています(現実には、これだけでは、お金は足りないだろうけど)。そして、伐採した木は隅々まで使う。これが、本当に環境に優しいということではないでしょうか。
日本人は、木の使い方が非常にヘタだと感じます。木を使う部分より捨てる部分の方が多い。だから、木は非常に高価なものになってしまうし、無茶な伐採をする事になる。自然が育んだものは、大切に使わなければ・・・。なぜ、そんなことになっているのかは、別の機会に書きます。
外材のコスト的有利さもありましょうが、我々日本人の日本の木に対する認識の薄さにこそ問題があるように思います。例えばウォールナット・チーク・ローズウッド、または紫檀・黒檀・鉄刀木と聞けば高級木材と思われるでしょうが、杉・栗・桜と聞いても高級だと思われないところにこそ問題があるのです。
そればかりではありません。日本の森林保護政策がどうなっているかはよく知りません。が、予算がないそうです。
結局、みんなが森に対して正しい認識をして、守ることを考えないと森が死んでしまうことだけは、確かだと思っているのは私だけではないはずです。