第2樹種目は、店内外で多く使 用している“栃(とち)”にしましょう。
〜 店に使われている 木の話 〜
いらっしゃいませ
喫茶 大工集団欅(けやき)







栃は白太と赤味の境はしなや楓と同様に殆ど判別がつかなく、赤味部分の中心に更に赤味の様な偽心と言う全く利用価値がない硬く粘りのある部分が出来ます。
材は、白色で軟らかいのが特徴です。
昔、栃は一般的には利用価値の少ない木でした。
白太だけが利用される事があります。

栃の杢目は波をうったような縮れた杢目が綺麗です。
また、春材と秋材の間に黒く墨を流したようなライン(墨)が入るのも特徴です。
栃は柿と同様に細胞の並び方が特殊で、リップルマークと呼ばれる漣状の木目が出る特徴があります。
このリップルマークを利用し、大経木なので幅広い板がとれますから高級床の間の地板に使われ定番品となっています。

街路樹としても植えられています。
こう書くと若い方にも栃に親しみを持って頂けると思いますが・・・。
パリのシャンゼリセ通りの有名なマロニエ並木は西洋トチノキのことです。
仏語は、Marronnierです。
公害につよいことから日本でも並木植栽に多く使われています。

栃は不思議な木で、この木だけは白太部分が貴重と言われます。(他の木では白太は不要な部分です)
用途は、日本ではマッチ軸木、パルプ材、包装用材、建築、器具、漆器、家具、木地、彫刻に利用されています。

しかし、ヨーロッパではテーブルの天板の最高級品はチークやマホガニーでもウォールナットでもはありません。
チークのような堅い木ではグラスを置いたときの感触が悪いため、その最適な樹種は栃とされています。
堅くなく、かと言って柔らか過ぎずちょうど良い堅さだったのと、何と言っても杢目の綺麗なことから、今でも無垢のテーブルの最高級品は栃です。
もっとも、滅多に見られません。
イギリスのバッキンガム宮殿には長さ82フィート(約24.5m)の栃のテーブルが有るそうです。見てみたい!

栃は秋には実がみのり、食用にできます。
皆さんがご存じの栃餅もこの栃の実が入っていますよね。
しかし、食用にするには灰汁抜きだけでも大変世話のかかる実です。
また種子の澱粉を食用にもしています。

栃については思い出があります。
或る年の晩秋に面河渓にぶらりとドライブに出ました。
面河渓は道後温泉に並ぶ愛媛の名所ですが、交通の便が悪く、自動車でも松山から2時間はかかります。
しかしそのおかげで、観光地特有の人の多さやゴミの山を見ずに済みました。
面河村立山岳博物館の下からは関門と呼ばれる水の澄んだ綺麗な峡谷を中心とした遊歩道が整備されています。
その遊歩道から道路に戻り、さらに渓谷の奥の亀原や五色河原と呼ばれる名所までの道路沿いには普段は見落としがちなスポットがあります。
それは栃やカゴノキ、板屋楓などの巨木たちです。
車一台すれ違わず、道に迷ったのかと思いながら車を走らせていたのですが、 巨木たちを見てウキウキしてしまいました。
まさかこの様なところにこんな巨木たちが静かにたたずんでいるとは・・・・。
栃は葉が特徴的なのですぐに分かります。
面河山岳博物館には栃の実や面河の植物の標本が展示されています。
ここの栃の巨木の下には残念ながら実は見あたりませんでしたが、いつか栃餅を作ってみたいものだ、と今でも思っています。

 (とち)  【Japanese Horse Chestnut】

学名 【Aesculus turbinata】
Aesculus は、aescare(食べる)に由来しています。
果実が食用や飼料になるために付けられました。
turbinataは倒円錐形の、西洋ごま形の、と言う意味があります。
白峰村のトチ餅でも解るように、人間は遠い昔から栃の実を食用にしていたことが解り ますよね。

双子葉植物 離弁花類 トチノキ科 トチノキ属 
(日本にはトチノキ科はこの一種しかありません)
落葉高木

分布は、南千島、樺太、北海道、本州中北部、朝鮮、満州などです。
日本では北限の北海道銭函から以南の本州四国に多く見られますが、特に東北地方の谷筋の肥沃な土地に群生します。
九州にはないと言って良いほどしかありません。

河岸の肥沃地、河床に多く生えています(現在では、生えていました、と言った方が正確ですね)。
山麓地へ行くと小川のこちら側と反対側でそれぞれ栃が生えており、小川の上で絡み合うように一本の木になっているような、仲良しの栃を何回か見たことがあります。きっと栃は寂しがり屋で雄と雌があるのかもしれません。
温帯では渓畔林を構成しています。蜜源植物です。
庭園樹、街路樹としても植えられます。

栃木県の県木はモチロン栃ですが、量的にそんなに多く生育はしていません。

山中に自生し、樹高35m直径2mに達する大木も稀ではありません。
落葉性の高木で、樹皮は暗灰色です。

5月に花が咲き、10月には栃の種子がなります。
栃の実には苦味があるので色々な工夫をして栃餅を作ります。
葉は、長枝では互生、短枝には業生となっています。
葉の上面は濃緑色、下面は白色をしています。

栃の葉は匂いも良く大きいため、古来弁当箱の代用にされたりして、食器の代用にされます。

玄関ポーチの階段板
 
皆様は“栃の木”だとお気づきでしたでしょうか?
   
店内のカウンターです。
 
この“栃の木”は白峰産です。
こんなに大きな板が採れるんですね。

奥のほうに5箇所ほど、黒柿が埋め込んであります。
これは、板の割れやキズを防ぐものですが、職人の腕の見せ所です。

  
←店内中央のテーブルです。

これは、福井県の大野産です。
白峰産の栃と比較すると、木肌の色味が違います。
木も育った環境によって、同じ樹種でも違いが出てきます。
←店内の壁に張り付けた“栃の木のミミ”の部分です。

材木を丸太で買いその後、製材して使用します。その時に出た耳の部分です。カウンターと同じ木のものです。
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良い家 造ります